在宅勤務手当を非課税にするのは、現実的ではない

会社が在宅勤務している従業員に対して
手当を支給するケースも出てきていると思います。

この在宅勤務手当の所得税の課税の取り扱いについて、
国税庁の見解が出ましたので備忘しておきます。

実費相当を手当とする場合は非課税

事務用品等の従業員の立替払いに関しては、
これまでと同じく、
会社が事務用品等を貸し付けていることになるため
一時的に立替払いしたとしても、
所得税は非課税となります。

なので携帯を貸し出す場合は、課税にはならないということですね。
通信料の支払いも会社が負担すれば、
手当の支給もいらないので
その場合は問題になりません。

ただし従業員に対する貸付ではなく渡切で、
返却を求めない場合は、課税となります。

さて、問題は、従業員が自宅でテレワークした場合に
本人が負担した光熱費や通信費を
プライベートと仕事にどう分けるかです。

仕事の部分は非課税ですが、算式があり
算式に当てはめて算出して金額を
在宅勤務手当として支給した場合は、非課税となります。

通信費の非課税限度額の計算

通信費の非課税限度額の計算は次の算式でだします。

従業員負担の1か月あたり通信費×その月の在宅勤務日数/その月の日数
×1/2                 

例えば、通信費(基本料金含む)が1万円、在宅勤務日数が8日、1月の日数は31日。
その場合の在宅勤務手当の計算をしてみましょう。
    1万円×8/31×1/2=1,290円
この場合だと1,290円までは所得税は非課税となります。

ただし、
通話料など、仕事で使ったことがあらかじめわかっている料金部分は
この計算式からは除かれます。

この例示であれば、1万円のうち、
あらかじめ仕事にかかった通話料が3,000円とわかっている場合は、
 計算は、7,000円×8/31×1/2=903円
この場合仕事での通話料と計算でだした非課税分の
3,903円が所得税の非課税限度額となるわけです。


光熱費の非課税限度額の計算

では光熱費の場合はどうなるかというと、算式はこちら。

従業員負担の1か月あたり電気代×
自宅のうち仕事で使っている分の床面積/自宅全体の床面積×
その月の在宅勤務日数/その月の日数×1/2  

通信費との違いは、計算に床面積の割合を加えているところです。
例えば、電気代(基本料金含む)が1万円、在宅勤務日数が8日、1月の日数は31日。
自宅床面積が60㎡、仕事に使用する床面積が20㎡である場合は、

 1万円×20/60×8/31×1/2=430円

この場合だと430円までは所得税非課税となります。

計算がややこしいので、非現実的。一律で支給すると課税

上記例示で見てきたように
あらかじめ仕事に使うことが
はっきりとわかっていない場合、
計算式にあてはめると非課税限度額はかなり少なくなります。

なおかつ、
非課税限度額を計算するために
各従業員から請求明細などを毎月提出してもらい
実際に計算式にあてはめ、

非課税限度額の範囲で
在宅勤務手当を支給するとなると
経理課や総務課など給与計算をする方の
事務負担は膨大になります。


この計算式にあてはめて
非課税限度額を算出して在宅勤務手当を支給できるのは
従業員1人から3人くらいでしょうか。

その場合でも携帯を会社から支給した方が
事務負担を考えると楽ですよね。
従業員のスマホで、携帯番号だけ追加取得してもらうとか。
いちいち毎月の非課税限度額を計算するのは不毛すぎます。

そこで一律に在宅勤務手当を支給となると、
所得税は課税されることになります。

従業員にとっては、非課税部分があると、
ありがたいですが会社がこれだけの事務負担を負って、
非課税の枠を取ってくれるとも
思えないです。

もしこの非課税枠を取ろうとするなら
仕事のすべてをテレワークにし、
携帯電話も会社が支給、
客観的に通信費がわかるようにする、また
レンタルスペースを借りてそこで仕事をするなど

計算式にあてはめなくても、
あらかじめ仕事とプライベートがわけられる
状況にするのが得策です。

まとめ

在宅勤務手当の所得税の取り扱いについて
在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)
もとにまとめました。

なかなか現実的ではない取り扱いなので、
一律支給で、例えば5,000円までなら非課税
という扱いにならないですかね・・。

 

 


▼娘日記
うんこドリルが大好きで
昨日はお父さんがお土産にうんこドリルを
買ってきました。
せっせか取り組む娘たち。

上の子はこれで国語算数の復習を。
楽しみながら勉強できるので、最高ですね。


 

 

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