年末調整の実務の流れー扶養控除等申告書の配布から源泉徴収票発行までー

今日は年末調整を実際に行う場合の業務の流れを書いていきます。

源泉徴収票発行までの基本的な流れについて書いていますので、
細かい論点や年末調整の計算の方法については省略しています。
また年末調整ソフトへ入力することを前提に書いていますので、
ご了承頂ければと思います。

年末調整で調整するものは、
ほとんどが保険料控除、たまに住宅ローン控除や小規模企業共済。

それ以外に国民健康保険、国民年金を払っておられる場合は、
1年間での社会保険料の支払額を社会保険料控除
として年末調整で反映します。

2020年の税制改正では、ひとり親控除が創設・基礎控除の変更が
されましたので、大きく改正されています。
控除に誤りがないよう注意して進める必要がありますね。

では全体の流れを順番に見ていきましょう。

【2020年版】ひとり親控除新設と寡婦控除の改正点ー
年末調整・確定申告で注意しましょうー

年末調整の変更点(2020)ー給与所得控除額と基礎控除額の見直し

①扶養控除等申告書など3枚の申告書を配布

毎年少しずつ変わりますが、
2020年からは申告書類が3枚になりました。

・令和3年分給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書
・令和2年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書
 兼所得金額調整控除申告書
・令和2年分保険料控除等申告書

これらを年末調整すべき対象の方(役員や従業員)にそれぞれ配布します。

注意点は、扶養控除等申告書のみ令和3年分となるところ。
令和2年分は昨年の年末調整時に書いてもらっていることが前提です。

もし令和2年分を書いてもらっていない場合や、
今年が初めての年末調整である場合は、
令和2年分、3年分まとめて書いてもらいます。

毎年住所と名前とハンコ押すだけなので、なんで毎年書くの?と
思われるかもしれませんが、毎年扶養の状況、結婚の有無等
変わることがあるから、変わっていないことを確認するためにも
毎年書いてもらう必要があります。

面倒ですが、毎年必ず行いましょう。

令和2年分と令和3年分で扶養情報が変わっている場合は、
令和2年分の扶養控除等申告書を修正し、修正後の扶養情報で
年末調整を行います。

本人に修正してもらうのが確実ですので、
3枚の申告書類に加えて、令和2年分の扶養控除等申告書も
一緒に配布し、修正がないかどうか本人に確認してもらうのも一つの方法です。

扶養控除等申告書に関して、
なぜ令和3年分のものを書いてもらうのかというと、
年明けからの扶養情報を確認し、年明けからの
給与計算の際の源泉徴収を正確に行うためです。

それと、令和3年1月1日の住所情報を元に
給与支払報告書を各市町村へ提出するためにも
令和3年分の扶養控除等申告書を令和2年の12月の時期に書いて
もらう必要が出てきます。

なお、紙ではなく、電子データで保存される場合は、
住所や氏名、扶養情報など、紙と同様の情報を
データ入力してもらうこととなります。

その場合は、紙のように配布、回収の手間がなくなります。
管轄税務署への事前の承認申請が必要となりますが、
今後のことを考えて、電子データ保存を進めたいですね。

※国税庁HP
年末調整手続きの電子化に向けた取組について(令和2年分以降用)

②扶養控除等申告書を回収。添付書類は原本提出。

①で記入してもらった申告書を12月の給与計算や
年末賞与の計算までに回収します。

添付書類で代表的なものは次のとおりです。
全て原本提出となります。

なお、電子データ保存について、管轄の税務署に事前に申請、
承認を受けている場合は、保険料の情報をデータ取得するため、
原本の提出は不要です。

また、国民健康保険料は申告書に記載のみで
社会保険料控除の適用が可能です。

・保険料控除証明書
・社会保険料控除証明書(国民年金)
・借入金残高証明書(初年度は確定申告で。
 2年目以降は住宅ローン控除適用は年末調整で可能。)
・住宅借入金等特別控除の計算明細書

③添付書類について年末調整ソフトへ反映

②で入手した保険料控除、社会保険料控除証明書について、
保険会社名や保険の種類、金額などを年末調整ソフトへ入力していきます。

保険に関してのチェックポイントは以下のとおりです。

・新保険制度か旧保険制度かを間違えないこと。
・一般の保険、介護保険、年金保険の種類を間違えないこと。
・年末までの払込予定額を金額に反映すること。
(証明書発行時までに支払った金額ではありません。)

また、昨年まで適用されていた保険の控除証明書がない場合は
お手元にないか再度確認してみるのもよいでしょう。

住宅ローン控除がある場合は、
住宅ローン控除の計算明細書と銀行からの借入金残高証明書を
元に年末調整ソフトに反映します。


いずれも前年と比べて変更点がないかどうかという視点が
重要となります。

④扶養情報を年末調整ソフトへ入力

住所や生年月日などの基礎情報も給与計算の段階でしていない場合は、
年末調整の時にやっておきましょう。

そして、扶養情報も年末調整ソフトへ反映します。
こちらは昨年と変更がないかどうかの確認と
ひとり親控除が適用できるかどうか、
該当しそうな方は確認する必要があります。

個人的にはシングルマザーで未婚かどうかを尋ねる必要は
無くなりましたので、個人的なことに立ち入らなくて済む分
少し気が楽になりました。

また、所得金額調整控除の適用のある方は
控除を忘れず反映します。

2020年度税制改正 所得金額調整控除の創設。
該当する方は忘れずに年末調整で申告しよう。

⑤12月までの給与・賞与計算を確定させる

前職があり途中入社の方の場合は、
前職の給与所得に係る源泉徴収票を提出してもらい、
現職の給与所得と合算して年末調整を行います。

12月分の給与計算をして、年末賞与の支給がある場合は
そちらも年末調整ソフトに反映させます。
給与計算が終われば、給与計算ソフトと年末調整ソフトが別々の場合は、
給与計算データを年末調整ソフトへ連携。

勝手に年末調整過不足の計算までしてくれます。

過不足の金額が分かれば、
12月給与又は年末賞与で過不足分を上乗せ又は追加徴収とします。

年末調整過不足額の精算は、何月の給与でないといけないとか、
賞与でないといけないという決まりはないので、
年末調整は12月中に終えて、1月の給与で調整するという場合もあります。

基本は、12月給与や年末賞与に過不足額を反映させるとよいでしょう。

年末のボーナスに上乗せされて手取りが増えることは
ただの精算金にせよ、従業員からすれば嬉しいものです。

そして、システムは過信せず、検算は必ず行いましょう。
システムがしてくれていることだし、
安心しきっていると落とし穴があります。
自分がうまくシステムを使いこなせていないことが
原因であることがほとんどですが、不具合が出ることもあります。

また前年との比較をしておかしいところがないかも
チェックすると、より正確に年末調整することができます。

⑥源泉徴収簿を出力しチェック。訂正。

そして最終のチェックです。

最後に控除の漏れがないかどうか、間違いがないかどうか、
所得税の過不足の金額は給与や賞与で反映されているか、
給与計算、賞与計算に間違いはないかなどを再確認します。

年末調整は資料さえ集まれば簡単ではあるものの、
やはり税務業務のひとつです。

確認作業を何度も繰り返すことで見えてくることが必ずあります。

⑦源泉徴収票を発行。本人にお渡し。

こちらも発行する前に一度チェックした方がよいです。
きちんと控除額が反映されているか、
年税額に間違いがないか、住所や生年月日など。

意外とうまくシステムで反映されていない時があります。
源泉徴収簿を修正したのに、源泉徴収票は修正されていないとか
なぜか生年月日が間違っているなど。
念には念をでこちらも再確認します。

確認が終われば、源泉徴収票を発行し、
給与や賞与の支払時に一緒に本人にお渡しします。

まとめ

年末調整の実務的な流れについて、
扶養控除等申告書の配布から源泉徴収票を発行するまでをまとめました。

源泉徴収票を発行してから、
12月分の源泉所得税の納付、
年明けの法定調書合計表の税務署への提出、
および給与支払報告書の市区町村への提出までが
年末調整と地続きの一連の事務です。

そこまでできて、初めて年末調整は完結すると思います。

源泉徴収票を発行したあとからの実務の流れについても
今後まとめたいと思います。

 

 

▼昨日の娘日記
-姉8歳-
学校ですごろくを製作してきました。
超大作だったので笑ってしまいました。
時間がなく昨日できなかったので、休みの日にやろうね。

ー妹5歳ー
唇がずっと荒れていたので
自分用のリップクリームを買ってあげました。
口をすぼめてぬりぬり。クレヨンのように
気に入ってぬっています。

 

 

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