個人事業主向け 結局、元入金の意味するところはなに?

個人事業主(フリーランス)で自分で経理をされている方が
疑問に思うのは、元入金って何?というもの。

会社でいう資本金のようなものと説明されていたり、
ネットで読んだりしますが、なんだかぼんやりとしていて分からない。

そこを今日ははっきりさせたいと思います。

元入金を構成するもの3つ

元入金は、事業が進むにつれて構成要素が3つ出てきます。
式で表すとこんな感じです。

元入金=自己資金+その年の利益+(事業主借ー事業主貸)

ぜんぜん資本金じゃないですね。
本当は違うものだという認識でよいと思います。

①最初に用意した自己資金

資本金のようなものという意味は、
最初に事業を開始した時の自己資金が含まれているからだと思います。

まず事業を開始した1年目から考えてみます。
最初の自己資金が300万円。借入金が600万円。
すべて預金900万円でもってスタート。

そうすると、自己資金300万円がそのまま元入金となります。
最初のスタート時の金額なので、構成要素の金額として、
①は変わらないです。

なのに元入金は毎年変動します。
それは次に出てくる②③も合計されるからです。では順番に見ていきましょう。

②利益の積み上げ

自己資金300万円でスタートした事業は、
その年わりと順調に進んだとして、利益が生じます。
利益の算式は次のとおり。

利益(青色申告特別控除前の金額)=収益ー費用

青色申告をしている場合は、特典があるので、利益の額から
さらに65万円を経費のように利益から差し引きできます(青色申告特別控除)。

ちなみに2020年分の確定申告からは、e-taxで申告をする、もしくは
電子帳簿保存をするのどちらかの対応をしないと、
控除額は55万円にさがりますので、青色申告で申告される方は
ぜひともe-taxで申告できるよういまから準備をしておきましょう。

 

話がそれましたが、例えば、事業開始の年の利益の額が30万円だったとします。

この時点で元入金の額は330万円。
(自己資金300万円+利益30万円=330万円)

順調に資金が増えていっていることが元入金からも読み取れそうです。
ところが、次に見ていく事業主貸と事業主借の差額も
元入金に入ってしまうので、さらにやっかいになってしまいます。

③事業主貸と事業主借の差額

元入金の最後の構成要素は、事業主貸と事業主借の差額です。

これがややこしくしていますよね。

事業主貸は、事業主個人に対してお金を貸す場合に出てきます。
つまり、事業用口座から、事業とは関係のない
生活費のためにお金をおろす場合などです。

例えば、事業用口座から生活のためにお金をおろした場合の仕訳
はこうなります。

事業主貸 10万円 / 預金 10万円 

事業主借はこれの逆です。
事業主が個人からお金を借りる場合に出てきます。

例えば、事業用の通帳の残高が足りなくなって、
プライベート用の通帳からお金を補充した場合の仕訳は、

預金 30万円/ 事業主借 30万円

となります。

事業主貸、事業主借は個人事業主特有の勘定科目です。

自分が自分にお金を貸したり、借りたりすることを
わざわざ帳簿につけていくので、最初はとまどいがあるかもしれません。

会計の考えでは、個人事業主の場合、
事業のお金とプライベートのお金がごちゃ混ぜになりがちなので、

事業主としての私とプライベートでの私

そこをきっちり分けて考えてくださいということなのでしょう。

そして肝心の元入金の計算です。
事業開始時は事業のお金とプライベートのお金はごちゃっとしていることが多いので、
例えば、事業主貸が650万円、事業主借が300万円だとしましょう。
両者の差額はというと△350万円

さきほど求めた①+②の330万円とあわせると△20万円がこの年の元入金となります。
事業は順調に見えましたが、マイナスになってしまいました。

事業主のプライベート出金が多いと、
事業はうまくいっていても、元入金はよい状態にはならないということです。

それと注意点すが、事業主貸と事業主借は1年ごとに精算され、
差額が元入金に集約される仕組みになっています。

期末の貸借対照表の残高には、
事業主貸650万円
事業主借300万円

が載ってきますが、
翌期首の繰越残高では事業主貸、借、どちらも0円からスタートします。
差額△20万円のみ元入金として繰越されます。

こうして前期までの事業主貸と事業主借の差額が、
元入金に積み上げされていくのです。

まとめ

ここまで元入金の中身について解説してきました。
個人事業主特有の事業主貸や事業主借の勘定科目に影響を受けて
かなり変動することがお分かりいただけたでしょうか。

その点で、会社の資本金とはかなり違うものなので、
一概に元入金がマイナスだからと言って悲観的になる必要もありません。

プライベート口座に実はお金があって、
事業用に使える余裕がある場合も考えられるからです。

ただし、銀行側から見れば、あまりいい決算書には見えないことは確かです。

マイナスになっている場合は、事業用のお金を使いすぎていないか
プライベートの口座も含めてバランスを見たり、
トータルで見直ししてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

▼今日の一曲♪

真心ブラザーズ「かっこいいだろ」

▼昨日の娘日記

-姉8歳-
昨日は久々にチャレンジタッチをしてくれました。
なんかクリスマスプレゼントに惹かれたみたいです。


ー妹5歳ー
無事保育園の駅伝大会の選抜メンバーに
選ばれたそうです。
そんなつもりはないけれど、
ちょっとごり押しみたいになってしまったのかな。。

 

 

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