公益法人いろいろのいろは。

法人といえば、株式会社が一般的です。合同会社もありますね。
それらに加え、社会の利益のために活動する法人があります。

公益社団法人・公益財団法人・一般社団法人・一般社団法人がその代表例です。

・・でも色々ありすぎて分からない!という方に向けて。

今日はそれぞれの違いについて見ていきたいと思います。

公益法人とは

公益法人には、法律上「公益法人とは、〇〇のことをいう。」というような
明確な定義はありません。

一般的にイメージするのは、宗教法人・学校法人・社会福祉法人
公益財団法人・公益社団法人・一般財団法人・一般社団法人などでしょうか。

他にも商工会議所、健康保険組合、など100以上の組合や団体が公益法人等に該当します。

定義ではないものの、民法第33条2項(法人の成立等)に、
公益法人がどういった法人かが表現されています。

学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。」

公益法人を表すのは、黄色のマーカーのところです。

つまり

公益法人とは、学問、美術や工芸等の技術、社会福祉など社会の利益のために活動する法人

であることが分かります。

 

また非営利であるということもその特徴です。
非営利というと、営利を目的とする株式会社との対でとらえられます。
(ちなみに株式会社を分類すれば、営利社団法人に該当します。)

非営利とは、利益=儲けを出さないという意味ではありません。
役員報酬だって払えます。公益法人であっても儲けがあってもいいのです。

儲けを出しても良いのですが、その儲けは構成員に分配しないということです。
儲けが出たら、法人の活動を継続するために使いますよということ。

儲けがないと継続することもままならないですから、
事業の継続を考えるなら当然利益を出すことも考えないといけないです。

公益法人の場合は、儲けが出ても、社会の利益のために還元するので、
特定の株主のような構成員には還元をしないという発想なのでしょう。

公益法人(公益社団法人・公益財団法人)

公益法人は、公益社団法人と公益財団法人に分かれます。
公益法人の中でも公益認定を受けていない場合は
一般社団法人、一般財団法人となります。

また、社団か財団かにもわかれます。これは法人を作る目的の違いによるものです。

社団法人とは、人が集まって、活動するための法人です。財産より先に人ありきです。
つまり複数人で何か活動する際に、法人として活動することが出来るのです。
社団法人にすることで、組合や任意団体で活動するよりも社会的信頼性が高まります。

一方、財団法人とは、財産がまずあって、それを使って事業するために活動する法人です。
例えば土地や建物、現預金などの財産があって、社会貢献したいような場合に、
財団を作ることで、財産の運用と社会貢献の両方を同時に行うことができるわけです。

よく大会社の社長や会長が財団を作って、
若いビジネスパーソンのために寄付をし、社会貢献につながるような活動を
されているのが典型的な例です。

一般法人(一般社団法人・一般財団法人)

一般法人の場合も一般社団法人・一般財団法人に分かれます。
社団、財団の違いはさきほどの公益法人と同じです。

何が”一般”かというと、公益法人のような公益認定を受けていないという意味です。
公益認定を受ければ、一般社団法人、一般財団法人は公益財団法人・公益社団法人に
なることができます。

つまり公益社団、財団いずれも、最初は一般社団法人、財団法人からスタートして、
より公共性の高い法人を目指したければ、ステップアップできる仕組みとなっており、
二階建ての制度になっているということです。

といっても公益認定を受けるには厳格な手続きが要り、
要件もすんなり該当しないので、任意団体が法人化する場合には、
一般社団や一般財団のままということが多いです。

まとめ

公益法人の種類について色々と見てきました。
それぞれ違いがあって、それが法人の特徴となっています。

税金のかかり方も違います。公益法人だから税金かからないでしょ?というのは間違いです。
税金がかかるかどうかも、どういった法人にするのかを選択する上でとても重要な要素
ではありますが、手続きの簡便さを取るのか、公益認定をとるのかなど、
選択要素はいくつもあります。

公益法人を設立する場合、役員の人数や任期、課税方法も様々です。
ですが、本来の法人の活動目的に応じて、
どの種類の法人がその活動目的を達成するのに
適しているのかを第1の軸に置いて判断することが重要です。

その上で、それぞれの法人について、どういう課税関係が生じるのか、
専門家を交えながらシミュレーションをして、
最終的にどの法人にするのかを選ばれるとよいでしょう。