お金を残したいなら、単価あたりの利益をあげよう。

会社や個人で経営されている方は、日々儲けるにはどうしたらいいかを考えておられる

と思います。そのために売上をアップをするにはどうしたらいいかとか、

経費も削減しなければとか、無駄な税金なんて払いたくない!という考えの方

が多いように思います。

 

けれど本当に儲けたい、お金を残したいというならば、売上を上げることや

経費を削減することよりも、単価あたりの利益を増やすことの方が大切です。

お金を残したいなら、利益を増やして納税しよう。

税理士という職業柄、税金はきちんと払いましょう!と言う話ではありません。

よけいな税金は払わなくてもいいけれど、お金を手元に残しておきたいなら

ある程度の納税は必要ですということです。

 

手元にお金があると、新規事業の投資にもあてられますし、資金繰りに苦しむこともありません。

気持ちの上でもお金の心配から解放され、前向きとなりますので、行動力が増す傾向にあります。

それは経営をする上でとても重要なマインドです。

 

税金は誰しも喜んで払っているというよりも、義務だから仕方がないという気持ちの方が強い

のではないでしょうか。たまに喜んで払うという場合もあるかもしれませんが。

 

利益が少なければ、税金は少なくて済みますし、利益がマイナスならば、

税金を払う必要はありません(利益に課税されない住民税均等割や消費税のようなケースは

除きます。)。ならば利益は減らそう、儲かったら節税をしようという方向へ行きがちです。

 

ある程度の合理的な節税は、税金を減らすための有効な手段となりますが、行き過ぎた節税は、

会社から不用意にお金が流出してしまう原因となるので、気を付けなければいけません。

 

また、利益が出ていないということは、儲けが出ていないことになり、会社が事業を行う

本当の目的である、お金を残したい、儲けたいという思いとは矛盾した結果となり、

本末転倒です。

 

利益が出ていれば儲かっているわけですから、余計な節税策で無駄な出費をするくらいなら

きちんと利益を出して納税した方がお金は手元に残ります。

 

では利益を出した方が良いのであれば、今度は売上を上げて、経費は減らそうという

考えに走りがちです。しかし経費を減らすのにも限界があり、現状のような経済環境の厳しい状況

であれば、減らすところまではとっくに減らしているよという方のほうが多いのではない

でしょうか。

 

では売上を拡大する方向に進めるのでしょうか?固定費をカバーするためにもある程度の

売上が必要なことは言うまでもありません。

それに売上を拡大することは非常に分かりやすいです。対外的にもなぜか誇れます。

年商〇億円!顧問数〇百件!などという広告を目にするのは、分かりやすくて、

みんなが好きだからです。でも本当は経費が売上以上にあって、儲かっていないかも

しれませんし、自転車操業で、入ってきたお金はすべて借入の返済に回しているかもしれません。

嘘ではないにせよ、本当の姿よりも良く、大きく見せている可能性は充分に考えられます。

 

売上が増えたとしても利益が増えるとは限らないのです。

なぜなら売上の増加とともに増える原価や経費もあるからです。

だから売上を増やせば、利益が増えるという図式は成り立ちません。

必要なのは単価あたりの利益を増やすこと

ではどうするのか。

利益といっても、売上から経費を引いた利益を増やすのではなく、単価あたりの利益を増やすことが

大切です。そういうと、その方法が分かれば苦労しないわ!という声が聞こえてきそうですが、

みんな苦労しているところですし、徹底的にやるべきです。

商品を販売している場合

商品を売っているなら、1個あたりの利益率が高いものを売ること。

そのために1個当たり利益がいくらなのか計算する必要があります。

 

1個当たりの販売代金から材料費、製造経費を差し引き1個当たりの利益を計算します。

とても面倒な作業ですが計算することで、単価の高いものがどれなのか、

採算がとれない商品はどれなのかが見えてきます。そして全社でそのことを共有し、

単価の高い商品を販売、拡大していくようにするのです。

サービス提供の場合

サービス提供を仕事としている方であれば、時間単価を増やすことです。

商品販売のように、材料費はかかりません。

あるとすれば知識を得るための書籍代やセミナー代などでしょうか。

経費は自分がサービス提供のためにどれだけ時間を費やしたか、準備をしたかがポイントです。

1時間でできても、3時間でできても売上が変わらないのであれば、1時間で準備できた方が時間

あたりの単価は高いです。そのための知識と経験を常に積んでいくことが必要不可欠です。

 

特に個人事業主(フリーランス)の方は、自分の給料を経費に入れられないので、給料のように時間

あたりの単価が見えにくいです。

 

自分が動けば経費がかからず、タダだと勘違いしている人もいるくらいです。

確かにお金は出ていきませんが、時間がかかっている分、経費は確実に発生しているのです。

 

売上に対して、経費(自分の準備がどれだけかかっているのか)を把握し、時間あたりの単価を

上げる工夫をしてきましょう。