【2020年個人事業主の確定申告】赤字が出た時の手立ては「純損失の繰越控除」だけではない。「純損失の繰り戻し還付」もひとつの方法として知っておく。

今年はコロナ禍によって、多くの事業者の方は
黒字が出て節税したいというよりは、
赤字になってしまうことの方が多い状況ではないでしょうか。

そういった場合に、赤字を翌期以降繰越する「純損失の繰越控除」が
一般的ではありますが、前年に納めた所得税について
還付を受けることができる「純損失の繰り戻し還付」についても、
選択できる方法として知ったおきたいものです。

純損失の繰越控除が一般的

青色申告である個人事業主の方が、
その年に生じた損失(売上から経費をマイナスして赤字になること)について、

翌年以降3年間、赤字を繰越することができます。

例えば、今年の売上350万円、経費が620万円であれば、
350万円-620万円=△270万円の赤字。

翌年、業績が回復して、200万円の黒字である場合。
前期の赤字270と相殺すれば、まだ70万円赤字の繰り越しが残っています。

この70万円はあと2年繰越ができて、翌々年以降の黒字と相殺可能です。

この赤字を3年繰越できる方法は、けっこう一般的ですね。

注意点としては、次のとおり。
①3年間で繰越控除を使い切らないと、期限が切れてしまうこと
②青色申告事業者のみの特典であること
③赤字の生じた年から繰越控除を受ける年まで、
 赤字の金額などを記載した書類 (所得税確定申告書 第四表(損失申告用))を付けた
 申告書を連続して提出していること
④赤字の生じた年の青色申告書を期限内に提出していること

基本的に、青色申告書は期限内に提出するものですので、その要件が入っています。
青色申告書を提出すれば、繰越控除ができるというものではないですので
要件に当てはまるよう期限内に申告をすることを忘れずに。

純損失の繰り戻し還付も活用できるので、考えてみる

先ほどの、純損失の繰越控除は、
赤字を翌年以降繰り越すことができる制度でした。

一方「純損失の繰り戻し還付」は言うなれば、
さきほどの繰越控除の逆パターン。

前年が黒字で所得税を納めており、
今年が赤字である場合に、前年分の所得税を還付してもらうことができるのです。
こちらも青色申告者のみの特典です。

例示で簡単に考えてみましょう。
前年の所得が100万円。所得税を20万円納めていたとします。

今年の所得は△80万円。

今年と前年の所得を一体と考えて、
合計すれば、100万円ー80万円=20万円。
そうすると、2年間での所得税は4万円だったはず。

そこで、前年納めていた20万円から、
4万円を差し引きした16万円が還付されるという制度になっています。

この繰越控除と繰り戻し還付。

今年の赤字を翌年以降の黒字と相殺するのか、
今年の赤字を前年の黒字と相殺するのかによって、
2つの制度が作られているということですね。

どちらでも選べるのでメリットがある方を選べばよいと思いますが、
繰り戻し還付は、繰越控除ほど一般的ではありません。

それは、国からすれば、繰り戻し還付の場合、返金の制度となるので、
慎重に行いたいことから、繰越控除よりも注意点があり条件が厳しいからです。

注意点は次のとおり。
①原則として税務調査を受けること
②青色申告者であること
③当たり前ですが、前年に黒字で所得税を納めていること。
④前年分も青色申告決算書を提出していること
⑤所得税のみの制度であり、住民税や復興所得税は対象外であること。
⑥確定申告期限までに、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を所得税の確定申告書とともに提出すること

多くの方が「純損失の繰り戻し還付」よりも「純損失の繰越控除」を選択するのは、
やはり税務調査とセットになっているところがネックなんだと思います。

しかし、純損失の繰り戻し還付の最大のメリットは、
手持ち資金が増えるということ。

厳しい経済環境の中にあっては、
手持ち資金を確保することは必須なので
繰越控除だけでなく、繰り戻し還付という方法があることを
知っておくのも重要なのではないかと思います。

まとめ

今年、赤字が予想される場合に使える、「純損失の繰越控除」と
「純損失の繰り戻し還付」の概要について書きました。

「純損失の繰り戻し還付」は税務調査がセットとなっていますので、
二の足を踏むところですが、今年は手持ち資金の確保から、
多くの事業者が適用するのではないかと予想されます。

そうなると、金額の多寡にもよりますが、
現実的に全ての事業者に対して税務調査が行われるとは思えません。
あまり構えず、事業を続けていくためには
どちらの方法がよいのかについて、一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

▼今日の一曲♪

LUCKY TAPES「BLUE feat. kojikoji」

▼昨日の娘日記

-姉8歳-
小学生ですが、キラメイジャーが好きすぎて
セリフを姉妹で言っては、きゃっきゃと喜んでいました。


ー妹5歳ー
週末はリクエストに応えて京都市動物園へ
フラミンゴと話せる!と豪語するので、
かあかあ言ってるフラミンゴ、
今、何て言っているの?と娘に聞いてみると、
「おなかすいたー」って。

 

 

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