副業の雑所得問題が巷で騒がれていますので、
結局のところどう判断することになったのか整理しておきたいと思います。
何が問題か
主にはサラリーマンで副業をされている方への通達改正案でしたが
あまりに反対意見が多く、大幅修正する形となりました。
どういった内容だったかというと、副業が年収300万円ないと、事業所得ではなく
雑所得として取り扱うというものでした。
雑所得に該当すると、事業所得のように、他の所得と損益通算(赤字と黒字を相殺)できない、
青色申告の税制上の様々な特典(赤字を繰越したり、青色申告特別控除、青色専従者給与など)も受けられないので、税金計算上不利な扱いとなります。
そのため、雑所得と判断できるようなものであっても
事業所得で申告をするケースが後を絶たなかったのです。
これを国税庁は問題視しての改正案でした。
原則は社会通念で判定
300万円基準は事実上廃止になりましたが、
原則は社会通念で判断します。
そこは昭和の時代から変わっていません。
昭和48年の判例では次のように述べています。
「いわゆる事業にあたるかどうかは、結局、一般社会通念によって決めるほかないが、
これを決めるにあたっては営利性・有償性の有無、継続性・
反復性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費した精神的あるい
は肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点が検討されるべきである」
上記の点を総合的に検討し判断するということです。
しかし、これでは人によって判断が変わってくる上、難しいので、
最終的には記帳・帳簿保存の有無により判断するとされました。
そのため、今後は
①社会通念
+
②記帳・帳簿保存の有無
で判断することとなります。
では、②記帳・帳簿保存の有無について見ていきましょう。
記帳・帳簿の保存なしの場合
記帳・帳簿の保存がない場合は、
年収300万円超 ・・・おおむね雑所得
年収300万円以下・・・雑所得
「おおむね」という表現がまたあいまいですが、
判例や社会通念で判断する点が含まれていると理解しています。
しかし業務の年収が300万円超えていて、
記帳・帳簿の保存がないケースというのはけっこうチャレンジャーですね。
たとえ300万円以下であっても
売上-経費=利益の把握くらいは最低限しないと、
業績を知るためにも、自分を守るためにも帳簿保存が必須かと思われますが
いかがでしょうか。
記帳・帳簿の保存ありの場合
記帳・帳簿の保存があれば、300万円基準はなく、
おおむね事業所得
となります。
ただし次のような場合は、雑所得と判断されることもあります。
※例年とは「おおむね3年程度」
①収入金額が僅少と認められる場合
例年、年収が300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満
②営利性が認められない場合
例年赤字で、赤字を解消するための取組を実施していない場合
収入を増加させる活動、黒字にするための営業活動などを実施していないなどが
該当します。