役員貸付金に対する利息の計算はどうするのか?

法人がその役員や従業員に対しお金を貸す場合がありますが、
その場合の利息はどうなるのでしょうか?

給与として課税を受けることも

一般的に金融機関などがお金を貸す場合、元本返済に加え利息の支払いをしていきます。
法人がその役員や従業員に対しお金を貸した場合であっても、
金融機関と同様、法人に対し利息の支払いをしなければなりません。

身内だからと言って、
もし無利息あるいは一般的な利息よりも低い利息しか支払っていない場合は、
一般的な利息と実際の利息との差額は給与として扱われ、
所得税課税の対象となってしまいます。

なぜなら法人はもうけることを前提として行動をとると考えられているからです。
お金を貸せば利息を払ってもらう=もうけをもらうのが当然ということ。

災害や病気など臨時で生活資金が必要な場合などで
合理性のある貸付であれば無利息でもOKなど例外もありますが、
ほとんど当てはまりません。

中小企業の場合は社長がATMから手元資金を補うため
ざっくりと現金を引き出して、会計処理上不明出金となってしまっているものが
役員貸付金となっていることが多いです。

そのまま利息を払わないでいると役員に対し給与課税を受けてしまいますので、
利息相当額を計算し法人に支払う必要がでてきます。

利率は何%が適正か

では利率何%くらいが適正なのでしょうか。
給与課税を受けないための利率はある程度決まっています。

パターンは3つ考えられます。
① 法人が他から借入して貸し付けた場合はその借入利率(ひも付き融資)
② ①以外の場合は特例基準割合
③ 平均調達金利

①はそのままなので一番シンプルですね。

②特例基準割合は
銀行の貸出約定平均金利をもとに決まっています。

平成22年から25年中に貸付けを行ったもの・・・・・・4.3%
平成26年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・1.9%
平成27年から28年中に貸付けを行ったもの・・・・・・1.8%
平成29年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・1.7%
平成30年~令和2年中に貸付けを行ったもの・・・・・・1.6%
令和3年中に貸し付けを行ったもの・・・・・・・・・・1%
令和4年中に貸し付けを行ったもの・・・・・・・・・・0.9%


③平均調達金利は
合理的に認められている計算上の利率なので
①②以外の選択肢として使うことを認められています。

平均調達金利=前事業年度の支払利息合計/前事業年度の借入金平均残高

前事業年度の借入金平均残高 は
前事業年度の各月の借入金残高合計額÷前事業年度の月数
で計算すれば簡単で分かりやすいです。(簡便法)

なお、上記方法により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額が
1年間で5,000円以下である場合は給与課税の扱いは受けません。

まとめ

役員貸付金の利息について書きました。
法人での不明の出金は役員貸付金にせざるを得ないことが多く
利息は生じるし、融資審査でも良く思われないので
いいことなしです。

年に一度精算するなどけじめをつけて早期に解消していくようにしましょう。

 


▼娘日記(8歳、5歳)

今日は二人ともプールへ。
と言っても私が連れて行っているわけではなく
下は保育園から。上はお友達と共に。

ああなんとありがたいことでしょう。

真面目に仕事ができた夏なんです~


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