事前確定届出給与を年2回以上払う場合に気をつけたい点

事前確定届出給与について質問を受けたので
まとめておきます。

事前確定届出給与とは

事前確定届出給与とは、監査役や取締役など役員に対する賞与のようなもの。
事前に税務署へ届出し、届出したとおりの時期に、届出した金額で支給することで
法人税法上、損金=経費として認められます。

届出書はこういったもの。これに支給金額を記載した付表をつけて管轄の税務署へ提出します。

届出時期ですが、事前確定届出給与について決議をした
「株主総会等決議日」
または
「職務の執行を開始する日」
のいずれか早い方から1か月を経過する日
もしくは、「会計期間開始日から4カ月を経過する日」のうち、
いずれか早い日です。

少々細かいので税理士に相談しながら、提出時期や金額を決めていくと良いでしょう。

届出通り支給しなければ、全額損金にできません

上記のとおり、届出した支給日のとおりに、届出した金額で支給しなければ
会計上、経費にしたとしても、税務上、損金=経費にならないので、
実施するなら慎重に行わねばなりません。

届出しても金額や支給日を間違えると後で痛い目に合います。

ですので、事前確定届出給与を提出する際は
支給日と支給金額は間違えないようにお願いします!とかなりしつこく
お伝えします。

年2回以上支給する場合に気をつけたい点

事前確定届出給与は複数回分を1回で届出することができます。

例えば、3月決算の会社で
定時株主総会を開催し、9月末と3月末に
各100万円を支給する旨の決議をし、
それを1回の事前確定届出給与で届出することができるのです。

注意点は、複数回の支払いについて届出を行うケース。

その場合は、届出した全ての事前確定届出給与について、届出どおり支給しなければ
全額を損金にすることはできないという点です。

年2回の支給で、1回目は支給日、金額とも届出どおりに支給していたとしても、
2回目の支給を行っていなかった場合は、1・2回目ともに損金にはできないことになります。

通常役員は、その業務執行期間を通じて、
会社の業務を行い、これに対する対価を支払うという考え方がベースにあるので、
届出通り支給されていないのであれば、いずれも損金性を否定されてしまいます。

1回目は損金として認めてもらっても良いようにも思いますが、
現行はそのようにはなっていません。

ただし会計期間をまたぐものの支給であれば損金となるケースもあります。
つまり、1回目は届出どおり支給、
翌期の2回目分は支給されずというケースであれば、
1回目の支給分について、損金として認められます。

まとめ

事前確定届出給与について気をつけたい点についてお伝えしました。

届出時期がわりと早いのと、届出どおり支給しなければならないので、
要件は非常に厳しいものとなっています。

慎重に慎重を重ねて実行するので
神経を使いますが、役員を労い、仕事への活力に
つなげるためにも事前確定届出給与を出せるくらい
業績を上げていきたいものですね。