インボイス制度開始から1年経過、その後のルール変更

インボイス制度が開始されて1年経過。
経理実務としては手間が増えたとしか言えないこの制度ですが、
早くも多くのルールに変更が加えられています。

その変更の多くは電子帳簿保存法のルール変更に基づくもので、条文や規則などが変わったわけではなく、国税庁による解釈や指導が変わりました。

今回はとくに経理実務においてその保存要件の煩雑さに振り回されたルールのうち、
実は改訂されていた、という重要項目を3つ、お伝えします。

1、アマゾンなどECサイトの領収書データはダウンロード不要

ECサイトで領収書データをいつでも確認できる場合は、データダウンロード保存は不要というルールに変更されています。

例えば、Amazonビジネスでは、発行日(商品の発送日)から10年間、適格請求書がアマゾンサイトにクラウド保存されます。
10年間であれば、インボイス制度が定める保存要件の最大年数を満たすので、Amazonビジネスの領収書は原則としてダウンロード保存不要ということです。

ただし、ECサイトによっては、領収書の保存期間が短い場合もあるので注意しましょう。

インボイス制度では、電子取引に係るデータは7年間、赤字である場合には10年間の保存が必要です。
そのため、7年未満でデータが消えてしまうECサイトでは、これまで通り領収書データのダウンロード保存が必要です。

2、ETC利用料金の利用証明書もダウンロード不要

Web上で明細書等を確認できればダウンロード保存が不要という1、ルールは、ETC利用料金(高速道路利用料金) にも適用されます。

これまでは、ETCを利用した場合、クレジットカードの利用明細と、高速道路を利用した任意の日の利用証明書のダウンロード保存が必要でした。これが、クレジットカード料金の利用明細があれば、繰り返し利用する高速道路に関しては、利用証明書のダウンロード保存が不要ということになりました。

これだと「繰り返し」はどのくらいか?という疑問が生じますね。

この繰り返しに該当するのは、15ヶ月に1回以上の利用が目安とのこと。

15ヶ月に1回以上というのは、ETC利用照会サービスで確認できるのは過去15ヶ月間の走行明細であり、15ヶ月に1回以上ETCを利用していれば、いつでも利用照会サービスで証明をダウンロードできる状態にあるからです。結果としてダウンロード保存が不要になります。

ダウンロードするために「ETC利用照会サービス」(無料)にログインできるようにしておきましょう。

3、金融機関の手数料の明細もダウンロード保存不要

金融機関の入出金手数料や振込手数料に関するインボイス保存についても、ECサイトやETC同様にルールが緩和されています。

まずオンラインの振込手数料等については、インターネットバンキングで記録を随時確認できれば、明細のダウンロード保存は不要です。

ETCの場合と同様、この場合もインボイスは例示でどれか任意の一取引で良いため、直近の手数料の明細が確認できるのであれば問題ありません。

また店舗で支払う手数料については、任意の1回分のインボイスの保存が必要です。インボイスは金融機関による「各種手数料のお知らせ」でも代用できます。そのため、金融機関の手数料に関しては実質的にインボイスは不要、と言って差し支えないでしょう。

4、まとめ

インボイス制度が開始されて1年経過した現在、インボイス保存要件が緩和されていますので、
その重要項目について3つお伝えしました。

どれも実務上はいちいちインボイスを発行できない、もらえないものばかりです。

インボイスノイローゼになられている経理をされている方は、少し気持ちが楽になればと思います。