税金で預り金処理をするのはどれ?

先日、税金に関して預り金処理で合っているのか分からないという
質問を法人のお客様から受けました。

法人で事業を行っていると
個人から徴収する源泉所得税や個人住民税、
法人が負担する法人税・事業税・地方税・消費税
などたくさんの税金が絡んできます。

種類がありすぎて分からない、
とおっしゃていましたが、税金に関して預り金処理をするのは
源泉所得税と個人住民税のみです。

預かったものをそのまま納めるから預り金

従業員に払う給料や、士業に対する報酬などから
徴収している源泉所得税、また給与から天引きされる個人住民税は、
原則として給与や報酬を支払った翌月の10日までに
本人に代わって、法人が納めます。

所得税の源泉徴収や住民税の特別徴収によって
サラリーマンは税金を自分で納めなくても
法人が代わりに納めてくれるわけですね。

法人側での会計処理ですが、預り金を使います。

預り金は貸借対照表の負債の項目。
いずれ支払いをするものなので、負債という扱いです。

預り金のため、損益計算書を通って、
経費になるということはありません。
従業員や士業などの個人から預かったものを
税務署や自治体にそのまま支払うだけだからです。

預かったものをそのまま払うという税金のため、
法人の負担はありません。
法人の負担がない税金は、個人から徴収する源泉所得税と住民税の2つのみ
ということです。

では、消費税はというと、預り金で処理はしません。

消費税は預り金?

商品やサービスを受けるとたいていの場合、
消費税を払っていますが、この消費税は、
消費者から預かったものをそのまま法人(又は個人事業主)が
納めているわけではありません。

消費税の計算方法は、

預かった消費税ー支払った消費税

で求めます。(課税区分や調整など細かい話は除きます。)

消費者から預かった消費税をそのまま納付するわけではないということが
この算式からもわかります。

ですので、預かった消費税も含まれるのですが、
支払った消費税の差し引きして、計算で消費税の金額を出すので、
預り金ではなく預り金的性格と表現したりもします。

そして会計処理も預り金ではありません。

会計方式によって異なります。

税抜経理方式の場合、消費税については税抜。
消費税は除いて考えますので、
預かった消費税分は仮受消費税、
支払った消費税分は仮払消費税で一旦処理します。

そして決算の際に、両者を相殺して消してしまいます。

仮払と仮受の差額が預かった消費税と支払った消費税の差額となり、
未払消費税でいずれ納める税金を負債に上げます。

この場合も源泉所得税や住民税と同じく未払消費税であげるので
経費とはなりません。

消費税は計算で求めているので、
どうしても預かった消費税から支払った消費税をきちっと計算できるわけでなく、
数百円から数千円程度のズレは生じます。それについては
雑収入や雑損失で上げることはあります。

一方、税込経理方式の場合は、
消費税込みで売上や経費を上げていくため、
税抜経理方式の時とは違って、
消費税分について差額計算することができません。

決算時に別途消費税の計算をして(実際の計算は税務ソフトがしてくれるので、
設定にあたる課税区分の振り分けが非常に重要です。)、
租税公課で消費税を上げて費用とします。

費用とするのですが、
結局のところ、預かった消費税分が売上に含まれているため、
租税公課として費用に上げたとしても
預った消費税と支払った消費税について
お互いに相殺されて消えてしまうようにできています。

税込経理方式だと、決算時に費用が上がるので、
一瞬お得に見えますが、
売上の消費税分だけ売上が多く上がっているので、
相殺されるのです。

そのため、経理方式が税抜経理方式であろうと、
税込経理方式であろうと
理論的には損得なく結果は同じになるようになっています。

まとめ

法人に対する税金の処理で、預り金処理をするのは
個人に対する源泉所得税、個人住民税のみで、
消費税は預り金になりそうだけどならないことを整理しました。

なお、預り金処理をして納める税金は、個人事業主の方も同じ考え方ですので、
参考になれば幸いです。

 

 


▼娘日記
最近下の子は、保育園へお迎えに行くと、
まだ遊びたいと言ってなかなか帰りません。

小学生の方はすぐに帰りたいと言ってきます。

いつか上の子も、遊びたくてなかなか帰ってこない
なんてことがあるのか、そんな風に言ってくれることを期待していますが、
今日もすぐに帰ってくると言っていました。


 

 

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