会社の未来はお金の見える化から。資金繰り表作成のすすめ

資金繰り表とは?ほぼおこづかい帳

資金繰り表と聞くと難しそう、専門家しか作れないと感じる方も多いですが、実際はとてもシンプルです。イメージとしては会社のおこづかい帳です。
日付ごとにいつ・いくら入って、出ていくか、いくら残っているか、を記録したものです。

お小遣い帳では財布の中身を管理しますが、資金繰り表は会社の銀行口座を管理します。つまり「手元資金がいくら残るか」を予測して事前に見えるようにすることがその役割です。

預金出納帳ができれば完成します

資金繰り表は形式が決まっていないので、オリジナルの見やすいものを自分なりに作成して構いません。よくネットで出てくるものは、以下のようなものが多いです。

こちらは日本政策公庫のページより抜粋しています。

しかし、この形式だと、わざわざ会計ソフトや銀行通帳などから作成しないといけないので手間ですよね…作るのもなれないとなかなかどこに何を入れたらいいのか?わかりにくいですね。

そこでおすすめするのは、預金出納帳をそのまま利用する方法です。会計ソフトから各銀行の預金出納帳をエクセルで書き出しして、横に並べれば、

各銀行のお金の出入りがわかりますし、残高がわかるので、いつどのタイミングでお金が足りなくなるのか、いつ、いくら借りるべきかが半年以上前からわかるのです。

1つの銀行だけで管理している場合は、預金出納帳をそのまま資金繰り表にしてOKです。複数の銀行を利用している場合は、横に口座を並べて「合計欄」をつけると、全体の資金残高が一目でわかります。

複数のお財布を1冊のおこづかい帳にまとめる感覚で作成ます。これなら誰でも作成できますよね。

中小企業・事業主が資金管理で気をつけるべき点

  1. 入金と支払いのタイミングは売上経費の上がるタイミングではない
    売上は上がっていても、入金が翌月、翌々月になることがあります。一方経費には上がっているけれど、支払いは翌月、翌々月になることもあり、損益計算書とはズレていきます。そこを資金繰りでは預金の出入りで管理します。
  2. 税金・社会保険料を忘れないこと
    決算や年に数回しかない支払いは「つい見落としがち」です。必ず予定として資金繰り表に組み込みましょう。
  3. 借入金の返済を必ず入れること
    月々の返済は経費には出てこないため、損益計算書とはズレますが、必ず入れて資金繰り表で管理する必要があります。

手軽に始められる資金繰り表の作り方

実務で使うなら、ExcelやGoogleスプレッドシートが便利です。

作成手順

  1. 列に「日付」、勘定科目、摘要、入金、出金、残金を並べる
  2. 入金予定・出金予定を入力
  3. 横に「合計残高欄」を設ける
  4. 残高がマイナスになる月がないか確認する

たったこれだけで「未来の資金残高」が可視化されます。

まずは過去1か月分を入力してみます。そこから翌月、2か月後、3か月後など向こう半年分の入出金を予測して入力していきます。予測なので、もちろん実際とのずれも出ますが、大まかなお金の流れを理解しておくことが大切です。

まとめ

資金繰り表は、特別なツールではなく「預金出納帳を横に広げたもの」と考えれば十分です。
銀行ごとの残高を並べて合計を出すだけで、「会社全体のお金の残高」を未来まで見通せるようになります。

会社は利益がなくても潰れませんが、お金が無くなることで潰れます。資金繰り表は会社の命を守る命綱です。まずは簡単に、今ある預金出納帳を横に並べてみて、先を見通すことを始めてみませんか?