法人成りで個人から引継ぎする資産の取り扱い

法人成りのご相談がとても増えています。

今日は個人事業主から法人成りするときに個人事業で持っていた資産はどうするのか?

その取り扱いについて解説しています。

個人の資産を法人に引き継ぐ方法

個人の資産を法人に引き継ぐ方法は、

・現物出資
・売却
・賃貸

の3種類があります。

現物出資は設立の際に資金が少なく現物しかないときに使われますが、
資金ショートする可能性もあることからあまり使いません。

ここでは一般的な売却と賃貸についてにのみ解説しています。

個人から法人へ売却する

固定資産台帳に上がっている資産のうち
減価償却が終わって、財産価値がほとんどない資産については
帳簿価額でそのまま引継ぎします。

財産価値のあるものについては、次のとおりです。

・棚卸資産・・・販売価格×70%以上で売却、事業所得。個人事業の売上高に加算
・一括償却資産や少額減価償却資産・・・事業所得
・店舗・土地・備品などは譲渡所得
(時価の1/2未満だと時価で売却したものとみなされ課税されます)

事業で使っていたとしても、譲渡所得になるものもあるので戸惑いますが、
現行ではこのような扱いになっています。

また、売掛金買掛金などの債権債務はあまり引継ぎせず、個人で回収、支払をして完結します。
法人に引継ぎする場合は簿価で引継ぎしましょう。

個人から法人へ貸付ける

個人事業の資産を新たな法人へ売却すると
所得税課税や消費税課税を受けることから、これを避けたいケースもあります。

そういった場合は、個人から法人へ資産を貸付=賃貸することで
余計な税金がかからないようすることができます。

また売却すると、法人側で多額に資金が必要となるケースで資金に余裕がない場合にも
この賃貸のケースが採用されます。

このケースでは
個人も賃貸事業を残しますので、引き続き所得税の申告をします。

・土地建物などの貸付けの場合は不動産所得で申告。

賃料をどうするかという問題で
論点が一気に増えますが、適正な賃料を取っておけば課税関係の問題は生じません。
時価と大きく離れたり、無償で貸付すると地代の認定課税の問題も出てきますので、
問題は複雑化します。

土地建物など以外の場合の資産の貸付は事業所得や雑所得で申告します。